進行していると予測される肺高血圧症のフローラン治療

肺高血圧症は、肺血管の内腔が狭くなったり閉塞することで肺動脈圧が持続的に上昇している状態です。

心臓病や肺疾患、睡眠時無呼吸症候群、膠原病、門脈圧亢進症、慢性肺血栓塞栓症などが原因として挙げられますが、特に原因の見つからない特発性肺動脈性灰高血圧症(IPAH)もあります。

動作時の息切れや、疲れやすい、呼吸困難、動悸、足のむくみ、失神、咳、血痰などの症状で受診される事が多いのですが、肺動脈圧が上昇しているだけではこれらの症状は出現しない事が多く、症状が出た時には既に、心不全状態となっていると予測されます。

つまり、自覚症状があって受診されて、肺高血圧症と診断された時には、病気は進行していることがほとんどです。

治療は、心不全の治療と肺動脈圧を低下させる治療の、2本立てで行う必要があります。

フローランは一般名がプロスタグランジンI2で、PGI2と略されます。
他の薬剤との大きな違いは、フローランは体内に存在する物質であるという事です。

フローランには強い血管拡張作用と血小板凝集抑制作用があり、患者さんの症状を緩和します。

しかし、非常に不安定な物質で、体内では3~5分で分解されて効果がなくなります。
そのため、24時間持続的に点滴をすることになります。静脈内にカテーテルを留置し、患者さんは24時間管に繋がれていることになります。

このような治療も、肺移植を待つまでの繋ぎ的な治療で、やがて症状は進行・悪化する事が予測されます。

完治するには肺移植が望まれますが、我が国で脳死からの肺移植を行うことは様々な問題を抱えており容易ではありません。
肺移植が可能な医療機関も、2015年現在、東北大学、独協医大、京都大学、大阪大学、岡山大額、福岡大学、長崎大学の7施設しかありありません。

そのため、今後当分の間は、フローラン治療が肺高血圧症の患者さんにとっては、「最後の砦」的な内科的治療であると予測されます。